序章10~彫金に導かれし者

第19話 奇跡のDNA

ガウディ
「みんな揃ってどうしたんじゃ?」

「ナリトよ、粉は手に入れられたのかな?」

ナリト
「いや、それが他の人に落札されてしまって。」

ガウディ
「そうじゃったか。」

レオナルド
「それで、先に奇跡のDNAの一部をもらいにきたというわけなんだよ。」

ガウディ
「そうかそうか」

「ワシはこいつの誕生を見に来ていたんじゃ。」

ガウディは、生まれたばかりの鹿の赤ちゃんを抱えていた。

ユフィリー
「ほうら、よしよし」

ユフィリーもガウディの肩に乗り、あやしている。

ナリト
「そもそも奇跡のDNAって何なんですか?」

レオナルド
「それは、しゃべる動物の細胞の一部を指輪の材料として使うことで、ジュエリルになった時の形態、要するにデザインが決まるのさ。」

「しゃべることが出来るアクセサリーになれるのも、しゃべる動物のDNAの能力の賜物なのさ。」

「私はそのまま自身のDNAを使ったので、猫のジュエリルとなる。」

「ユフィリーの場合は、アカデミア専用として、クマのDNAをバッジに使っているんだよ。」

「このDNAの作用で、その動物の特徴や能力が、ジュエリルになった時に発揮されるようになる。」

「空を飛んだり、泳いだりとかね。」

「だからナリトは、ここにいる彼らの誰かに、そのDNAを分けてもらわないと、ジュエリルリングは作れないし、ジュエリルにはなれないのだよ。」

ナリト
「それだったら、レオナルドさんのDNAでも良かったんじゃないですか?」

レオナルド
「それがね、人間は厄介な生き物でね。」

「進化と相性というものがあるんだよね。」

ガウディ
「レオナルドは、ネズミに騙されて、選ばれなかったからな (笑)」

レオナルド
「私じゃありませんよ!」

ガウディ
「ガッハッハッハ」

ナリト
「どういうことですか?」

ガウディ
「人間界には、干支ってものがあるじゃろ。」

「自分の干支が、相性の良い生き物なんじゃよ。」

「ワシの干支は虎じゃ、だからトラのジュエリル。」

「まあ、稀にそれ以外の動物とも相性が合うヤツもいるがな。」

「ダリがそうじゃろ。あやつは人間なのに、鷹のジュエリルになれるからな。」

レオナルド
「最終的な進化は、自分の干支や相性の良い生き物に変身するんだ。」

ナリト
「なるほど。」

レオナルド
「しかし、いきなり自分の干支にはなれないのさ。」

「進化の過程というものがあるんだよ。」

ガウディ
「人間が変身する場合、始まりは皆、クマのジュエリルなんじゃよ。」

「そこから、変身できるジュエリルも進化していくんじゃ。」

「さて、奇跡のDNAはこれでよしとして、問題は、あともうひとつの材料をどうする・・」

すると、突然、周りの動物たちがざわつき出した。

空がだんだんと暗くなり、遠くの方で雷が鳴り響いた。

南の空から何かが近づいてくる。

第20話 王子

動物たちは森の中へと隠れ、ナリトたちだけが取り残された。

そこへ、ナリトのふたまわりはあるだろうか。

とても大きなジュエリルが舞い降りてきたのだった。

それは、全身が宝石で散りばめられた、気品あふれる風格の龍だった。


「久しぶりだな、ガウディよ。」

ガウディ
「ああ、30年ぶりじゃな。」

「フィガロ。」

なんと、その龍のジュエリルは、ダリの義父、フィガロだった。

フィガロ
「ダリと会ったそうだな。」

ガウディ
「ああ」

フィガロ
「あやつに何を話した?」

ガウディ
「昔話をしただけだよ」

フィガロ
「あやつが突然、パーフェクトジュエリルの粉はあるかと訪ねてきてな。
話を聞いてみると、ナリトという人間のジュエリルリングの材料探しを手伝っているという」

「そこに、おまえの話が出てきた。」

「まだ、おまえは続けているようだな。」

ガウディ
「ああ、ワシの使命じゃからな。」

「ワシはワシの方法で、逸材を集め、スキルのかけらを探し出し、そしてKARMAREYの書をまとめ上げる。」

「族長にも頼まれたからな。」

フィガロ
「まあ、おまえが何をしようが、オレにはどうでもいいこと。」

「しかし、あいつ、ダリだけは引き込まんでくれ」

「よいな」

そう言って、手に持っていた小瓶をガウディに渡した。

フィガロ
「ここにナリトはいるか?」

ナリトは恐る恐る手を挙げた。

フィガロ
「ダリからの預かりモノだ。」

そう言って、ナリトにマスターストーンを渡した。

マスターストーンを手に入れた!

指輪のワックス原型制作の知識が刻まれた叡智である。

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フィガロ
「早くオリジナルが作れるよう実践をたくさん積めとさ」

ナリト
「は、はい!」

フィガロ
「確かに渡したからな。」

そう言うと、空高く、南の空へと飛んでいってしまった。

ナリト
「今のがダリのお父さんですか?」

ユフィリー
「怖かったよ~」

レオナルド
「変わってないな。」

ナリト
「レオナルドさんも知っているんですか?」

レオナルド
「まあね、・・・それよりその小瓶の中身。」

「それ!パーフェクトジュエリルの粉じゃないのか!?」

ユフィリー
「もしかして、3つの材料が揃ったってこと!?」

ナリト
「やった!!」

レオナルド
「いよいよ、ジュエリルリングを作る時がきたね。」

じっと何かを考えていたガウディだったが、

ガウディ
「よかったな、ナリトよ。これでNEO-KARMAREYに一歩近づいたってことじゃ。」

ユフィリー
「いよいよ、ジュエリルワールドですね!」

レオナルド
「よし、今宵は、宴だ~」

第21話 選択のとき

レオナルドは、タートルバックに戻り、早速ジュエリルリングの制作に取り掛かるそうだ。

レオナルド
「このかけらが揃えば、ロストワックス製法の一連の作業が理解できるはず。」

伝説の鋳造師であるレオナルドはナリトにスキルのかけらを渡した。

スキルのかけらを手に入れた!

キャストについての知識が刻まれた叡智である。

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ジュエリルリング完成までには、1ヶ月はかかるということらしい。

それまでの間、ナリトが彫金について色々学べるよう、レオナルドが彫金アカデミアの校長に頼んで、入学の許可をもらってくれることとなった。

 

空を見上げると、まあるい満月がくっきりと浮かんでいた。

丸太小屋の前では宴会が行われていた。

ガウディとレオナルドが酒を酌み交わし、ユフィリーがはしゃぎ踊っている。

皆、笑い、歌い、騒ぎ、大いに楽しんだ。

ナリト
「ちょっと酔っ払っちゃたみたいなんで、涼んできますね。」

ナリトは、湖の畔にあった丸太に腰掛けた。

湖の水のヒンヤリとした空気が、火照った体を冷ましてくれる。

ナリト
「ああ~、心地いいな~」

月をボ~と眺めていると、なにやら黒い影がこちらに飛んでくる。

あれは、共鳴の大木で出会ったモモンガだ!

風呂敷包をひょいっと、ナリトめがけて落としていくと、そのまま森の奥へと飛んでいってしまった。

風呂敷包みを開けると、そこに手紙が入っていた。

ナリト殿

ようやくジュエリルワールドへの入口まで辿り着いたようだね。

おめでとう!

これまでの旅で学んだことが、キミにとっての成長の糧となっただろうか?

もしキミが・・さらなるステージアップを目指したいと願うならば、

キミを彫金アカデミアのメンバーとして歓迎しよう!

Gikyu

To Be Continued...

序章のストーリーはここでおしまいとなります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

新章スタート!
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