序章5~彫金に導かれし者

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第8話 それいけ!ユフィリー

阿吽の問題に正解し、無事、仮通行証バッジとスキルのかけらをもらったカルマ。

バッジを胸に付けた瞬間、全身がまばゆい光に包まれた。

あまりの眩しさで目を閉じた。

しばらく体が宙に浮くような感覚に襲われた。

感覚がおさまり、目を開けてみると、

カルマは、なんとクマのジュエリルになっていたのだ。

クマのカルマ
「ユフィリーそっくりじゃないか!?」

小さかった鳥居を見上げながら、クマのジュエリルとなったカルマはゲートを潜り抜けた。

目の前にはガラスドームが其処此処に並び、そのドームの中心から伸びる大木の上には、城の天守閣や神社のような建物が建っているのだった。

クマのカルマ
「ここが、彫金アカデミアか。」

その中でもひときわ大きい建物からは、ガヤガヤと「多分、生徒たちなのだろう」
カルマと同じクマのジュエリルたちが次々に建物の中に入っていくのが見えた。

「ほら、キミも急がないと!」

振り向くと、そこには黒縁の大きな眼鏡をかけたリスのジュエリルがいた。

黒縁眼鏡のリス
「今日は、特別な講師をお招きしているのだぞ。」

クマのカルマ
「えっ? あぁ、はい。」

すると突然、鐘の音が鳴り響いた。

黒縁眼鏡のリス
「ほら!合図がなってしまったぞ!早く行きたまえ!」

ここの講師なのだろうか。

リスは、ひょいっと木の枝に駆け上ると、枝をつたって、先程生徒たちが入っていった建物へと消えていった。

カルマもリスの後を追い、建物が並ぶガラスドームへと向かった。

ドームの中は整備された庭園が広がり、中心の木の根元には扉が、そして扉の横には▲ボタンが付いている。

どうやら、エレベーターになっているらしい。

登りきった先は、建物から張り出た縁側部分につながっていた。

縁側はとても広く、ここから辺り一面が見渡せる。

建物の中から先程のリスの声が聞こえてきた。

黒縁眼鏡のリス
「我が彫金アカデミアの校長のお話ですが、今日も多忙のため欠席となりますので、」

「続きまして・・・」

クマのカルマは建物へと入っていった。

黒縁眼鏡のリス
「今日は、南の都" プランハーツ "から、素敵なゲストをお招きしました。」

「ダリくんです。」

壇上に上がるジュエリルの姿が見えた。

カウボーイハットにバンダナを巻いて、マントを羽織り、Gパンにブーツという出で立ち。

容姿は鳥?そう、鷹のジュエリルである。

ダリ
「はじめまして。」

「今日はみなさんに、ワックス原型制作で使う工具についてお話をします。」

「ワックスで重要な工具とは何かご存知ですか?」

周りがざわつき、あれこれと近くにいた者同士がささやきあっている。

ダリ
「そうです!スパチュラとワックスペンですね。」

「ワックス原型制作の8割近くの作業は、この2つの工具でおこないます。」

「今回は、その重要な工具を、自分の手で自作&カスタマイズする方法を教えましょう。」

「しかしここにいる皆さんは、スキルマスターを目指す方たちも多い。」

「そこで、スキルを持つ者としてふさわしい方なのか、私がテストをします。」

「私が出す問題に正解した者にだけ、その方法を教えたいと思います。」

会場がどよめいた。

第1問

ダリ
「私は3本の形のスパチュラを主に使ってワックスを彫っていくのですが、この3本すべてを改良して使っています。」

「その内の1本は、市販で販売すらされていない完全オリジナルのカタチです。」

「でもじつはそいつがもっとも使用頻度の高いスパチュラだったりするんですよね。」

「そこで、この問題の正解者には、私が使っているプロ仕様のスパチュラ3本の形状と、そのカスタマイズ方法をお教えしましょう。」

「それでは、問題です!」

問題

ハードワックスの中で一番硬いのは何色?

  • blue
  • purple
  • green

 

問題正解でもらえるスキルのかけら

ワックス彫りに必須の3本のスパチュラとそのカスタマイズ方法が刻まれたスキルのかけらである。

スパチュラカスタマイズの書

クマのカルマ 「一番硬いワックスの色は確か~」 「えっと・・・」 クマのカルマの目がパッと見開いた! クマのカルマ 「そう!!green!グリーンだよね。」 クマのカルマは、スキルのかけら「スパチュラ ...

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第2問

ダリ
「ワックスペンは、修正、デザインの盛り付けなど、特に造形的なデザインのアクセサリーを作る時に重宝する工具です。」

「しかし、値段が少しばかり高い。」

「そこで私は、自作のワックスペンを作ってみました!」

「機能も申し分なし、使い始めて1年以上経ちますが、今でも問題なく使えています。」

「このワックスペンの作り方も、特別に伝授しようと思います。」

「もちろん、こちらも問題の正解者にだけですけどね。」

問題

修正・盛り付けがやりやすいハードワックスは何色?

  • blue
  • purple
  • green

 

問題正解でもらえるスキルのかけら

市販価格の3分の1以下の値段で作ることができるワックスペンの作り方が刻まれたスキルのかけらである。

自作ワックスペンの書

クマのカルマ 「これも、greenだよね。」 クマのカルマは、スキルのかけら「自作ワックスペンの書」を手に入れた! ワックスのモデリング(原型制作)の作業には、ワックスペンは必要不可欠な工具です。 ワ ...

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ダリ
「受け継がれし記憶を我が内に修めるは行動あるのみ、さすれば道は照らされるであろう。」

「それでは皆さんの幸運を祈ります。」

ダリは壇上を後にした。

 

第9話 提案

クマのカルマは、マスタールームという部屋の前に立っていた。

ドアをノックした。

トントン

「どうぞ」

クマのカルマは中に入った。

部屋の奥が間仕切りで仕切られていて、そこから、先ほど会ったリスが出てきた。

黒縁メガネのリス
「どうした?」

クマのカルマ
「あの~じつは、」

黒縁メガネのリス
「問題の答えなら教えられんよ。」

クマのカルマ
「いや、そうじゃなくて、あの~」

「じつは~” ジュエリルワールドの海から採れたさざれ ”についてお聞きしたいことがあって・・・」

黒縁メガネのリス
「 はあ!?どうしてだい?」

クマのカルマ
「それは・・・」
「ジュエリルリングを作る材料だよね?」

間仕切りされた奥の部屋から声が聞こえてきた。

クマのカルマ
「そ、そうです!」

奥の部屋から現れたのは、先ほど壇上で講演をしたダリだった。

黒縁メガネのリス
「ダリさんがわざわざ」

ダリはリスの言葉を制すように手を上げ、

ダリ
「ちょっと興味があります。」

クマのカルマに目で合図を送って、

「続けてください。」

クマのカルマ
「プランハーツにいるレオナルドって方に、ここでもらってくるようにと言われたんです。」

ダリ
「レオナルド!?」

黒縁メガネのリス
「あの伝説の鋳造屋か!!」
「どこであったんだ!」

ダリ
「このドリームハーフでただ一人、ジュエリルリングを作れる者」

黒縁メガネのリス
「あいつの正体を知る者は少ない。」
「どんなヤツだった!」

クマのカルマは、レオナルドとの2つ目の約束を思い出した。

” 私の正体は絶対に口外しないでくださいね。 ”

「どんなって言われても・・・」

カルマは考えているフリをした。

黒縁メガネのリス
「おいおい、そいつは本物なのかい!?」

「そもそも、キミが言っていること自体・」

ダリ
「まあまあ・・落ち着いて。」

言葉に被せるようにリスをなだめた。

「それで、あとの材料は持っているのかい?」

クマのカルマ
「いや、まだ持っていません。どうやって手に入れるのかさえ聞いていません。」

ダリは独り言のように、

「・・・たしか、” オークション ”の目玉が、粉だった気がするな。」

「リングの作り方は知っているが、実際に作るところは見たことがないんだよな。」

ダリ
「キミに提案してもいいかい?」

「私はこれから、プランハーツに戻るところなんだが、その街にスキルのかけらのオークションがあってね。」

「たしか、次のオークションの目玉が、” パーフェクトジュエリルの粉 ”なんだよ。」

「どうだい?」

「すべての材料を揃えるのを手伝ったら、レオナルドに会わせてもらえるかな?」

クマのカルマ
「・・・本人に聞いてみないと。」

ダリ
「そうだよな。」

「じゃあ、そこまで連れてってもらえるかな?」

「あとは、レオナルドに決めてもらおう、私と会うかを。」

「どうだい、それで。」

クマのカルマ
「えっ、まあ・・・」

ダリ
「よし!じゃあ、決まりだ!」

「それでは、まず、” ジュエリルワールドの海から採れたさざれ ”だな。」

ダリはリスの方を見た。

黒縁メガネのリス
「えっ!いくらダリさんの頼みでも、スキルマスターでもないただの生徒に、貴重な材料を渡すわけにはいきませんよっ!」

ダリ
「じゃあ、私が借りるってことでは?」

ダリはリスをじっと睨みつけていた。

 

しばらく睨まれ続けたリスは、

黒縁メガネのリス
「ハアハアハア・・・わかりましたよ。」

「鷹が小動物を襲うハンターの目は反則です。睨まれた方は、生きた心地がしませんよ。」

「ダリさん、もう勘弁してください。」

ダリはクマのカルマを見て、にこっと笑った。

 

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