第0話 不思議な教本!?
『逸材にはなれそうかな?』
「どうでしょうね?」
『彫金の知識と技術は、覚えることが山ほどあるからね。』
『ついてこれるかな?』
「僕たち次第ってこと?」
『いや、それは本人次第さ。』
『私たちは面白さのきっかけを伝えてあげればそれでいい。』
『きっかけは誰にでも平等だが、その後の成長曲線は、そこに時間と資金というエネルギーをどれだけ傾けたかによって変わってくるからな。』
「どのくらい覚悟があるかってことね。」
『その傾ける熱量は自身が決めること。』
『周りがとやかく言うことじゃない。』
『まあ、とにかく私たちは導いていくだけなのさ。』
『結果はどうであれ、少しでも何か、あっ!』
『そういえば・・・パスワードは教えたのかい?』
「あっ~!忘れてた~!!」
『やれやれ。こんなんじゃ、スキルマスターは程遠いな。』
「あちゃ~!」
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この書のはじまりには、こんなやりとりが綴られていた。
そして、ここから先はパスワードでロックされていて、読むことが出来ないようになっている。
『これが教本?』
『パスワードは!?載ってないじゃん!』
ネットを眺めていたら、たまたま目に止まった電子書籍のタイトル。
「手作りアクセサリーの作り方が自宅で学べる彫金世界~ジュエリルワールド」
タイトルが気になったので、興味本位に試し読みしてみたのはいいが、
『お試し短っ!』
『意味わかんないんだけど!』
とその時、車内にアナウンスの声が響いた。
あなたは急いでスマホの画面を閉じて、電車を降りる準備をした。
外出先から自宅のマンションに戻ってきたあなたは、いつものように郵便ポストからチラシを抜き取っていた。
すると奥に、小さな小包が入っているのに気付いた。
差出人を見てみると、KARMAREYと書いてある。
「かーまりぃ?」
差出人を思い出そうとしたが、心当たりがない。
部屋に向かうまでの間、ありとあらゆる記憶を辿ってみたが、なにも思い出せない。
あなたは玄関のドアを開け、中に入ると、すぐさまリモコンのスイッチを押す。
TVをBGM代わりに、チラシの選別を済ませていく。
「さて、あとはあの小包か」
戸惑いと好奇心が入り混じる心境の中、ゆっくりと小包を開けていく。
中には、なにやらプチプチにくるまれた手の平サイズの物体。
プチプチを破ってみると、なんと!
クマのアクセサリーが出てきたのだ。
「?」
「・・・こんなもの頼んだかな?」
TVから、いつもの番組のタイトルコールが流れ出した。
22時をまわった。
「やばっ!もうこんな時間っ!」
あなたは、手に取ったアクセサリーを机に置くと、急いでバスルームへと向かうのだった。
あなたの意識に語りかける声が聞こえてくる。
この世のどこかにジュエリルワールドという、命を持ったアクセサリー” ジュエリル ”が住んでいる世界が存在する。
そなたがクリエイターを目指すならば、その世界に散らばっている” スキルのかけら ”を探し出し、彫金に関する知識と技術を習得するのだ。
自身の進むべき道とは如何に?
使命とは何だ?
そなたはその世界で、クリエイターとなるべく修行を積み、新たな自分を見つけ出すのだ!
さあ、パスワードは今ここに。
『夢なのか?』
意識がハッキリしてきたのと同時に、木の香りが漂っているのを感じた。
目を開けてみたが、突然光が飛び込んだせいか、焦点が合わずボヤケてしまった。
しかし、なにか雰囲気が違うことは分かった。
だんだんとその明るさに目が慣れてくると、周りがハッキリと分かってきた。
どうやらあなたは見知らぬ部屋のソファーで眠っていたようなのだ。
目の前のテーブルには、あのクマのアクセサリーがある。
部屋を見渡すと何かの作業場なのだろうか、たくさんの工具が置いてあった。
『ここはどこだろう?』
ソファーから起き上がろうとしたそのとき、テーブルに座っていたクマのアクセサリーがひょいっと立ち上がったのだ。
「うわあ!」
お互いにその場で尻もちをついた。
「イタタタタ。」
クマのアクセサリーはもう一度起き上がると、
「こんにちは。」
あなた
「エッ?なにこれ!喋るの!?」
クマのアクセサリー
「お待たせしました。」
クマのアクセサリーは、あなたの前に近づいてきた。
あなた
「動いたっ!?」
クマのアクセサリー
「そりゃ、動きますとも。」
「おおおっと、そうでした。」
「自己紹介を忘れていましたね。」
「オホン!え~ボクはこの通り、しゃべったり、歩いたりできる命を持ったアクセサリーの” ジュエリル ”です。」
「ジュエリルは、クリエイターになりたい人の前に現れて、その方をジュエリルワールドへ案内します。」
あなた
「ジュエリルワールド?」
クマのアクセサリー
「そう。案内するためのパスワードを持ってきましたよ。」
「それと” スキルのかけら ”もね。」
あなた
「?」
クマのアクセサリー
「まずは、その前にあなたのニックネームを決めましょうかね。 」
「っていうか、もう決まってますけどね。」
「これから向かう世界でのあなたのニックネームは”カルマ ”です!」
そう言うと、クマのアクセサリーはペコリとお辞儀をした。
「それでは改めまして、ボクはユフィリー!」
「これからどうぞよろしくね、カルマ!」
「それでは早速、これから教えるパスワードを使って、この書に名を刻み込んできてください。」
「これでカルマは、スキルのかけらを実際に手に入れることができるようになるよ。」
「名前は普段使い慣れているものでいいですよ。」
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序章1~彫金に導かれし者
前回のストーリー 第1話 夢と現実の狭間 ユフィリー 「カルマが今いる場所は、夢と現実をつなぐ島 ” ドリームハーフ ”というところです。」 「ちょうどここは、カルマの住む現実世界とジュエリルワールド ...
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