用意するもの
使用材料
- ラウンドのカボションカット(5mm)
- ラウンド型の覆輪枠
必要工具
石留め
- 糸鋸フレーム&鋸刃(地金用)
- ニッパー
- 砥石ビット
- ドリルビット(1mm程度の大きさでOK)
- 耐水ペーパーヤスリ(#600程度の粗さ)
- 覆輪用タガネ
- おたふく槌
- 爪倒し
- 回転バイス
- ヒートクレイ
- トリプレットルーペ
- セロハンテープ&はさみ
- マジックペン
仕上げ
- リューター
- ペーパーロールサンダー(#240・#1000)
- セーム皮バフ
- バフ粉
覆輪留め前の下準備
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1覆輪枠を整える
キャストから上がってきた覆輪枠を石留めできる状態まで整えていく作業です。
覆輪留めの理想の高さは覚えていますか?
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覆輪留めには理想的な留める位置がある!
まずは覆輪留めの実践に入る前に、留め方の知識を覚えましょう。 ここで学んだ留め方を実際に使い、その知識を自分の感覚に刷り込んでいき、覆輪留めの精度を高めていきますよ。 カボションカットの覆輪を作る カ ...
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バッチリな方は、映像を確認しながら石留め前の下準備を始めていきましょう!
【映像で学ぶ】覆輪留めの準備
この映像では一部、音が流れます。音量を確認してからご視聴ください。
覆輪留め練習用パーツ
- 枠の高い方(画像左)が、ファセットカットとカボションカット兼用の覆輪
- 枠の低い方(画像右)が、カボションカット専用の覆輪
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2セッティング
【映像で学ぶ】ヒートクレイのセッティング方法
この映像では一部、音が流れます。音量を確認してからご視聴ください。
机に回転バイスを固定しておきます。
ヒートクレイを80℃くらいの熱湯の中に入れて、やわらかくします。
(ボクはバーナーで軽く炙ってやわらかくしていますが、バーナーの扱いに慣れていないと焦がしてしまうので気をつけて下さい。)
- ヒートクレイが粘土のようにやわらかくなったら、手でこねて円柱や四角い形を作ります。
ベタつきがある程度おさまったら、リング穴に通しましょう。 - 冷めて固まってしまう前に、急いで覆輪部分が真上にくるようにヒートクレイに埋め込み
- それを回転バイスにT字になるまで挟んで固定します。
セッティングのポイント
このままだと覆輪がヒートクレイにくっついて、石留め後に外しづらくなってしまうので、埋め込んだヒートクレイの形が歪まないように気をつけながら、一度、埋め込んだ覆輪を上に抜いて外します。
ヒートクレイの固定のポイントは、真上にはすぐに外れるが、横へはズレずピッタリとおさまっている状態がベストセッティングです。
このように固定すれば、石留め完了後に容易にヒートクレイから取り外しでき、且つ、横にズレずに固定されているため、枠を倒すための斜めにかかる力が逃げずに、しっかりと枠に伝えることができるのだ。
取り外し
- バイスから外したら
- 上に抜く
- リング穴を通して外します。
上記の方法でヒークレイが外れない
- 水に強い石なら⇒お湯に浸ける
- 水に弱い石なら⇒覆輪周りのヒートクレイをライターなどの火で温める
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3石留め
爪倒しを使った覆輪留め方法
手の押す力で留める方法です。
タガネで留める方法に比べ、覆輪にキズや歪みを最小限に抑えて留めることができます。
大きめの覆輪を留める場合によく使います。
なにぶん力技の倒し方なので、倒せる限界があります。
そういう時は手で伏せられるところまで爪倒しを使い、仕上げはタガネを使うという併用ワザをします。
【映像で学ぶ】爪倒しでの覆輪留め
この映像では一部、音が流れます。音量を確認してからご視聴ください。
石留めのポイント
爪倒しを覆輪に向かって力を押し当てながら、上に起こして枠を石に寄せていきます。
上図のように、常に右側の1の位置で留める作業をしていきます。
バイスを回してあげて、留める箇所を右側に移動してきます。
倒し方には順番があり、対称で留めていくのが基本です。
1⇒1’と倒したら、続いてクロスの2⇒2’と倒し、斜めクロス3⇒3’、4⇒4’へ、さらにその間を対称に倒し、ぐるりと一周、均等に倒して留めていきます。
(左利きは、この逆になります。)
タガネ面の当たる場所は、覆輪の枠トップとタガネの面トップが同じ位置にくる所となる。
タガネは空中に浮いた状態になるので、中指にタガネを乗せて安定させること。(映像参照)
デザイン部分に覆輪がある場合は、デザイン部分(底面)にタガネを置きながら留めず、必ず空中に浮かせた状態で留めること。
覆輪留め完成の目安
石のてっぺんを指で押さえ、そのままかるく左右に動かしてみる。
カタカタと覆輪の中で石が動いているような感覚を感じたら、もう少し伏せてください。
タガネを使った覆輪留め方法
爪倒しでは伏せられないような小さな覆輪は、タガネを使って留めていきます。
爪倒しの力技の留め方と比べ、少ない力で繊細に倒すことができます。
ですので、小刻みにおたふく槌で叩いて少しずつ伏せていかないと、覆輪がすぐに歪んでしまいます。
覆輪の大きさ・デザインに関係なく、すべてに対応できる留め方です。
タガネで叩いた振動で石が傾いたり外れたりするので、石の直径よりも細くカットしたセロハンテープを石の上に貼って覆輪を固定させます。
【映像で学ぶ】タガネでの覆輪留め
この映像では一部、音が流れます。音量を確認してからご視聴ください。
石留めのポイント
タガネの傾けた角度に対して、常におたふくの面が90度で当たるように打つこと。
目線は常に覆輪を伏せるタガネ部分を見ているので、おたふくを打っている部分は視界には入り込むものの直接は見ずに打っています。
感覚だけで90度に当てられるように何度も練習して、身体に覚え込ませましょう。
タガネの打つ位置は、向かって石の反対側の時計の10時から2時の範囲内で叩いていきます。
倒し方は、対称で留めていくのが基本なので、バイスを回して倒す位置を移動させます。
1⇒1’と倒したら、続いてクロスの2⇒2’と倒し、斜めクロス3⇒3’、4⇒4’へ、さらにその間を対称に倒し、ぐるりと一周、均等に倒して留めていきます。
一度に倒そうとせず、順番通りに一通り軽く倒すことを何度か繰り返して、徐々に留めていくことを心がけよう。
覆輪の先端とタガネ面のきわが重なる位置を目安に打つようにします。
覆輪の先端に沿って左右にタガネを滑らせるように小刻みに打つことで、歪みをなくした覆輪に仕上げていきます。
覆輪留め完成の目安
石のてっぺんを指で押さえ、そのままかるく左右に動かしてみる。
カタカタと覆輪の中で石が動いているような感覚を感じたら、もう少し伏せてください。
よくやってしまう失敗例
慣れないうちはタガネで覆輪の先端を叩き過ぎて枠が潰れてヨレてしまい、見た目がよろしくない覆輪になってしまうことがあります。
これは覆輪の先端の傾斜を薄く削りすぎているか、逆に覆輪の先端が厚過ぎて倒れないからとタガネで力強く叩き過ぎたかのどちらかが原因なんです。
一度ヨレてしまった覆輪は手直しするのが困難ですので、まだ覆輪留めの感覚がつかめていないうちは、先端の傾斜を付ける時にタガネで叩いて潰れることを見越して厚みを気持ち残しておくと良いですよ。
最後に240番⇒1000番で覆輪を研磨して整えれば、ヨレずにキレイな覆輪に仕上げられます。